そもそもバーやバーテンダー、カクテルってなに?素朴な疑問に答えます! - bar_compass

注目の記事 PICK UP!

そもそもバーやバーテンダー、カクテルってなに?素朴な疑問に答えます!

バー関連の用語は少し使い慣れないものがあります。

「ロングのカクテルにしますか?それともショートのカクテルにしますか?」
うん?何のことだろう…
そもそもカクテルってなんなの?などバーに通い慣れていない方にとっては訳が分からない…ということも多いように思います。

今回はバーの基礎知識をまとめていきたいと思います。バーがいまいち何か分からないという方にはぜひお読みいただきたい記事です。

そもそもバーってなに?

そもそもバーってなんなんだよ!と思う方も多いと思います。
私もこの部分の定義づけは大切であると考えています。

バーとは、英語の「Bar」。訳せば酒場などの意味があります。
酒場ならそこらへんの居酒屋もバーではないのか?たしかに居酒屋も日本スタイルのバーと言えるかもしれません。

我々がメインで扱っていきたいのは、「オーセンティックバー」になります。
おそらく皆さんがバーと聞いて一番思い浮かべるスタイルです。カウンターがあって、バーテンダーがいて、カクテルやウイスキーなどを楽しむお店をオーセンティックバーと呼びます。
オーセンティックには「本物の」という意味がありますが、本格的なお酒を楽しむ場と思っていただけるとよいのではないかと思います。

他にはどんなバーがあるのか?

バーと一言で言ってもオーセンティックバー以外のバーもたくさんあります。
これらには明らかなコンセプトの違いが存在します。

例えば、女性がお酒を提供することに特化した「ガールズバー」。これに接待的な要素が大きく加わると「スナック」や「キャバクラ」と呼ばれる形態になっていきます。

また「ダイニングバー」というワードもよく耳にすることが多いと思います。ダイニングバーの特徴は、お酒のみならず食事の提供もがっつり行っており、レストランで本格的なお酒を楽しむことができるような形態になっています。

他には、「ミュージックバー」もあります。お酒の提供のみならず、ステージがあってそこでミュージシャンが演奏するジャズなどを聴くことができます。ミュージックチャージがかかってくるのも特徴です。

「ショットバー」は、オーセンティックバーよりもカジュアルな形でお酒を提供するバーです。英国居酒屋HUBさんをイメージしていただけると分かりやすいかと思います。料金先払いのパターンもショットバーは多くなっています。

特定のお酒にこだわったバーもたくさんあります。ビール専門のビアバーやワイン専門のワインバーは馴染みのあるものかと思いますし、最近では日本酒バー、焼酎バーも数多く存在します。もちろんウイスキー、ウオッカ、ラム、テキーラに特化したお店も存在しますし、自分の好きなお酒があればこういったバーでお酒を楽しむのもいいかもしれません。

多様化するコンセプトバーというジャンル

皆さん、コンセプトバーというワードを聞いたことはありますか?
近年バーの営業形態は多様化しており、お酒の楽しみ方は多岐に渡ります。なかでもエンターテインメント系のバーが増えているのが特徴です。

バーテンダーがマジックを披露することを売りにした「マジックバー」
映画や本好きが集まる「映画バー」「文壇バー」。(文壇バーは比較的何十年も前からあるジャンルかと思います。)
サブカル好きが集まるバーなど自分の趣味に合うバーを見つけるというのもひとつの楽しみ方になっています。

お酒の楽しみ方は人それぞれ。
お好みコンセプトを選んでいただけるのが一番です。


それではバーテンダーとは?

バーテンダーといえば、皆さんご存じの通りバーでシェイカーを振っていたり、氷をアイスピックで割っていたりするあの方です。

そもそもバーテンダー(bartender)という名称はアメリカで生まれたと言われており、1800年代にbar(酒場)と tender(お世話をする人)を合わせて作られた造語と考えられています。
アメリカより先にお酒を飲む文化が根付いていたヨーロッパではバーマン(barman)といった言葉が使われることもあるようです。ちなみに現代のアメリカではバーテンダーの代わりにバーキーパー(bar keeper)という言葉が使われることもあるようです。

バーテンダーは優しい止まり木

人気漫画「バーテンダー」の中では、バーテンダー=優しい止まり木といった表現が出てきます。

これはbarの原義に「横木」という意味があり、tenderには「やわらかい」といった意味があるため、このへんの意味をうまく意訳したと考えられます。
少々強引な訳とも思えますが、非常に素敵な意味合いをバーテンダーに持たせているため私はとても好きな表現です。

バーテンとフーテン

あまり知られていませんが、「バーテン」は差別用語ではないか?という議論があります。

これは「フーテン」と「バーテン」が重ね合わせて考えられるからです。
フーテンと聞いてすぐ思い浮かぶのは、男はつらいよシリーズの主人公「フーテンの寅さん」ではないでしょうか。フーテンとは、仕事をしないでその日暮らしをしている人たちを指した言葉です。たしかに寅さんはふらふらしています…

おそらくバーテンは、バーテンダーを略した言葉に過ぎず、フーテンを意識して誕生したものではないのだと思います。しかし、先ほども触れたようにバーテンダー、特にテンダー(tender)には特別な意味が含まれています。「やさしい」や「相談役」、「世話役」といった意味です。銀座には伝説のバーテンダー、上田和男さんがオープンした「銀座テンダー」というバーもあるくらいです。

バーテンと言われてあまりいいイメージを持たれることはありませんので、ぜひともバーテンダーという言葉をお使いいただければと思います。


「カクテル」について考える

バーやバーテンダーについて知っていただいたところで、ぜひカクテルについて併せて知っていただければと思います。
オーセンティックバーといえば、やはりカクテルがメインになります。
もちろんオーセンティックバーにウイスキーを飲み行くという方もたくさんいらっしゃると思いますが、よりバーテンダーの方のこだわりが出てくるのはカクテルなのではないかと考えています。

カクテルは一般にベースのお酒になにかを加える形で作られたお酒を指します。
お酒+炭酸水、お酒+ジュースなどももちろんカクテルに当てはまります。皆さんあまり意識して飲まれていないかもしれませんが、ウイスキーを炭酸水で割るハイボールも立派なカクテルです。

なぜカクテルと呼ばれるのか?

これにはいろいろな説があります。今回は4つ紹介させていただきます。

①イギリス説

メキシコ・ユカタン半島「カンペチェ」という港町にイギリス人が停泊したところから始まる説です。

このカンペチェの酒場では、皮を剥いだ木の枝でいろいろなものを混ぜ合わせたドリンクを作り、地元民にお酒を提供していたようです。
ハイボールなどを当たり前に飲む現代人としてみては、違和感を感じないと思いますが、当時のイギリスではお酒はストレートで飲むものと思われていたため、この光景は非常に珍しいものに見えたようです。

そこでイギリス人は詳細を酒場でドリンクを作る少年に尋ねてみるのでした。
「何を作ってるんだい?」

すると、少年はこう答えたのです。
「これは、 コーラ・デ・ガジョ(Cola de gallo )だよ!」

コーラ・デ・ガジョ(Cola de gallo)とは、スペイン語で「オンドリのしっぽ」を指しています。
なんでオンドリのしっぽが急に出てくるのか不思議ですよね。
どうやらこれは使っていた皮を剥いだ木の枝がオンドリのしっぽに似ていたため、少年はこのように応えたと言われています。

このコーラ・デ・ガジョを英語に訳せば、テール・オブ・コック(Tail of cock)。
これを語源として現在のカクテル(Cocktail)に変化していったと考えられています。

②アメリカ説

アメリカ独立戦争時代の出来事です。
「四角軒」という酒場がニューヨーク市のエムスフォードにありました。当時はまだ独立前であったため、イギリスの植民地でした。

店主のベティー・フラナガンは反体制派であったため、独立運動を支援していたのです。酒場の店主ができることと言えば、独立派の兵士にミクスト・ドリンクをふるまうことくらい。なにかできることはないかと考えていたわけです。

そこである日彼女は反独立派の大地主の家に忍び込んだのです。
どうしてこんなこと暴挙を行ったか。この大地主の家ではオンドリが飼われていたため、それを盗んでローストチキンにし、兵士たちにふるまおうとしたのです。

彼女は見事オンドリを盗み出し、ローストチキンにして兵士たちにふるまいました。
酒を飲みうまいローストチキンを食べ大盛り上がり!
すると、ひとりの兵士が立派なオンドリのしっぽ(cocktail)がミクスト・ドリンクのボトルに差してあることに気がつきます。

酔っぱらった兵士たちは「コック・テール万歳!」と叫ぶのです。
この出来事がきっかけとなり、ミクスト・ドリンクをオーダーする際には、コック・テール(cocktail)とオーダーをするようになり、それがやがてカクテルに変化していったという説です。

③メキシコ説

19世紀初頭の出来事です。

アメリカ南部軍とメキシコ軍との間では日々小競合い起きていました。そこで休戦協定を結ぶことでこの争いを終わらそうとしたのです。

休戦協定締結のための交渉の場では酒が出されました。女性たちが各々で作ったミクスト・ドリンクを持ってきましたが、一人の女性が持つ杯はひとつだけだったのです。
杯がひとつだけということは、もちろんお酒が飲めるのはアメリカ側、メキシコ側の片方となってしまいます。場には不穏な空気が立ち込めます。

それを察した女性はその杯を自ら手に取りぐっと飲み干してしまったのです。この女性の行動により不穏な空気は一気になくなりました。そして緊張の糸が切れたおかげもあり交渉はとんとん拍子に進むことになったのです。

休戦協定締結後にアメリカ側の将軍がお酒をぐっと飲み干した女性について尋ねると、メキシコ側の代表はこう答えるのでした。
「あれは自分の娘で、コクテル(Coctel)だ」

以降、ミクスト・ドリンクを コクテル(Coctel) と呼ぶようになり、これが カクテルに変化していったという説です。

そして、それがそのままミクスト・ドリンクの名前として使われるようになり、後にこの飲み物がアメリカに渡って、カクテルと呼ばれるようになったのです。

④フランス(ニューオーリンズ)説

これは18世紀末のお話です。
アントワーズ・アメデ・ペイショーという名の男性がニューオーリンズに薬局を開店、ある商品を生み出します。

それはラムをベースにした卵酒。もともとニューオーリンズはフランス植民地であったこともあり、当時はフランス人が多く在住していました。そのため、卵酒はフランス語で「コクチェ(Coquetier)」と呼ばれていました。

薬局で販売されていたお酒であるためもともとは病人用でした。しかし、味が思いのほかいいということで人々は日常の飲料として飲むようになるのです。

すると、いつしか人々は酒をミックスした飲み物のことをコクチェのような飲み物を指す言葉、「コクテール」と呼ぶようになり、やがてカクテルへと変化したのです。

カクテルの歴史

このカクテル、実は古代エジプトやローマではすでに飲まれていたとされています。
もちろん当時のカクテルは現代のものとは違い、ワインの劣化を防ぐために木の皮や植物の根っこを入れて加工して飲んでいたり、ビールにはちみつに近いものを入れて飲んだりしていたようです。

これが中世になると常温のカクテルが作られるようになってきます。現代のカクテルは氷を使ったものがほとんどですが、当時は氷は大変貴重なものだったので、常温のお酒を飲むことしかできなかったのです。
でも氷は使えなくても温めることは誰でもできる。ホットカクテルが花開いたのもこの時代です。


そしてカクテルにも産業革命の波が押し寄せます。「製氷機」の発明により比較的庶民でも氷を扱いやすくなりました。19世紀後半から20世紀初頭にかけてたくさんのカクテルがアメリカで誕生することになります。中には皆さんも名前を聞いたことがあるであろうカクテルの王様「マティーニ」女王「マンハッタン」が作られました。

アメリカはやがて禁酒法の時代に入ります。人々が酒を飲むことができないとなると、お酒を提供することが仕事のバーテンダーは職を失います。多くのバーテンダーは、職を求めヨーロッパに移ることとなりました。これが結果的にカクテル文化の輸出となり、ヨーロッパにもアメリカのカクテルが浸透していくことになるのです。

日本でも積極的に洋酒が飲まれるようになった明治時代以降、カクテル文化が少しづつ根付いていくことになります。戦後もカクテルには欠かせないフレッシュフルーツを比較的手に入れることができた東京銀座の東京會舘や都内の老舗ホテルなどから日本のカクテル文化は脈々と受け継がれ、今では全国各地に一流のカクテルを提供するオーセンティックバーが数多く存在するに至ります。


カクテルのスタイルと作り方

今回は最低限これだけは覚えておくといいのではないか!というものをまとめています。
たくさんあるスタイルや作り方の一部だけを紹介していることを予めご了承ください。

ショートとロング

カクテルのスタイルの王道はこの2つです。写真で見ていただくのが一番分かりやすいかと思います。

まずはショートカクテル。

皆さんがイメージするカクテルは、このショートスタイルのカクテルではないでしょうか。
短時間での飲み干すのに適しているカクテルということでショートカクテルと名付けられていますが、ここには意外な落とし穴があります。


後述するロングカクテルは、ショートカクテルのグラスより大きなグラスにソーダやジュースなどを入れるため、おのずとアルコール度数は低めになります。
しかし、ショートカクテルは、「マティーニ」などに代表されるようにお酒とお酒を組み合わせて作ることが多いため、おのずと量は少ないけれどもアルコールは非常に強いカクテルに仕上がることが多いです。

007シリーズに登場するジェームズ・ボンドは、ショートカクテルである「ウォッカマティーニ」をオーダーするのがシリーズ内でのお決まりとなっており、必ずウォッカマティーニを飲むシーンが映画内にあります。
ジェームズ・ボンドは、それを一気に飲み干すことが多いのですが、アルコールがそこまで強くない方がマネをすると死んでしまいますのでお気をつけください。

少し話は脱線してしまいましたが、ショートカクテルのほうがアルコール度数は強めとなることが多いため、おいしたく飲めるか不安な方はバーテンダーさんと相談しながらカクテルを作っていただくことをおすすめします。

ショートカクテルの逆、ロングカクテルはこちらです。

こちらはショートカクテルで用いるグラスよりも大きめのグラスにお酒やソーダ、ジュースを入れて作ります。
よく居酒屋などでも提供されている「ハイボール」、「ジントニック」、「スクリュードライバー」、「シャンディガフ」などはすべてロングカクテルに属しています。


じゃあ居酒屋で飲めばいいじゃないかと思う方、居酒屋で飲む「ジントニック」はそんなにおいしくないと思う方、様々な声が聞こえてきそうですが、ぜひこういったカクテルこそバーで飲んでいただきたいと思っています。
プロが作るカクテルはレベルが違います。これが分かるのはやはりカクテルをバーで楽しんだことがある方のみだと思いますので、ぜひとも一度はお試しいただけるとうれしいです。

シェイク、ステア、ビルド

じゃあこれらのカクテルをどのように作っていくのかです。
今回は代表的な3つの作り方をご紹介します。

まずは「シェイク」です。これは皆さんも想像しやすいのではないでしょうか。

バーと言えばこれですよね!
このシェイカーを用いてシャカシャカとカクテルを作るのが「シェイク」です。
主にショートカクテルを作る際に用いられることが多いです。

それでは「ステア」はなにか。

皆さんこちらの左側のグラスを見たことがありますでしょうか。

これはミキシンググラスと言います。
このミキシンググラスに氷とお酒などを入れて、写っているバースプーン(真ん中がらせん状になっているのが特徴でです)で混ぜ合わせます。
これが「ステア」という作り方です。「ステア」で作る代表的なカクテルはやはりカクテルの王様「マティーニ」です。

最後に「ビルド」を紹介します。

「ビルド」はひとつのグラスに氷とお酒、ジュースなどを入れて最後にバースプーンで混ぜ合わせる作り方です。
「ビルド」は皆さんもやったことがあるのではないでしょうか?
シェイカーやミキシンググラスは必要ないため、比較的誰でも実践できます。

主に「ビルド」はロングカクテルを作る際に用いられています。

さいごに

今回はバーやバーテンダー、カクテルの基礎の基礎をまとめてみました。
皆さんが気になるどんなカクテルがあるか?などについては次回まとめてみようと思います。

最低限の知識があるだけでバーテンダーの方とのコミュニケーションもさらに楽しいものになると思います。
少しずつですがまとめていければと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

関連記事

  1. カクテルのベースとなるお酒、ジンを使った定番カクテル15選をご紹介します

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP